出演
アンジェ ヒース ロイ ルーシィ

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◇水の洞窟の入り口

子供達が集まっている。
薄暗い洞窟の中、あたりを見回して不安そうな顔、興奮する顔、さまざまである。

ヒース 「えーと、忘れ物ないかな?行くよ!」
アンジェ「はい、よろしくお願いします」
ルーシィ「アタイ、すっごいの見つけるからネ♪」
ロイ   「落ちついて歩けよな、ルーシィは。亀裂いっぱいあるんだからな」

子供達は元気に洞窟の階段を降りていく。

ロイ   「でもさ、よくアンジェのパパゆるしてくれたね。洞窟行くなんていったら怒りそうじゃん」

ロイがハンマーで水晶を壊しながら問いかける。

アンジェ「…うーんと、実はヒミツなのです」
ヒース 「来週、アンジェのパパとママの結婚記念日なんだって!
     だからビックリプレゼントをしようってわけなんだよね♪」

うしろめたそうに答えるアンジェにヒースが助け船を出す。

アンジェ「ええ、ママの好きなアクアマリンとパパの好きなサファイアで
     お揃いのブローチを作ってもらおうと思って…」
ルーシィ「へぇ〜カッコイ〜!じゃあ、青い玉を見つけたらいいんだネ♪」
ロイ   「よし、みんながんばろうぜ!」
アンジェ「ありがとう、みんな」

石を割っては鉱石や玉を拾い集める子供達。
少し疲れてきたのか、大きなため息が漏れる。

ロイ   「なかなか、集まらないなぁ…」
ルーシィ「見て見て水晶がすごい集まってる!アタイの必殺技で一気にこわしちゃうヨ!」

水晶が固まっている場所に向かいルーシィがハンマーを振り下ろすべく気合いをためている。

ヒース 「ルーシィ、まっ!!」

ルーシィを止めるヒース。
間に合わず、振り下ろされたハンマーは水晶を砕き
あたりは噴出した様々なガスによって視界が遮られる。

アンジェ「きゃあっ!」
ヒース 「アンジェあぶないっ!動かないで!」

暗闇ガスが広がり、あたりはどんどん暗くなっていく。
暫く沈黙が続き、ようやくガスが治まったところでみな無事を確認しあう。

ロイ   「おい、大丈夫か?」
ルーシィ「アンジェ〜ごめんネ?だいじょうぶ?」
アンジェ「うん、大丈夫。…ほら、青い玉が2つも出てるわ。ルーシィちゃん、ありがとう」

ルーシィの割った水晶の中から出てきた青い玉を指さしアンジェがにっこりと微笑む。


ヒース 「そろそろ帰った方がいいかもね。鑑定して貰わなくちゃ」
ロイ   「おれたちがやっておくから、アンジェはもう帰ったら?心配してるかも」
アンジェ「…ううん、自分で依頼したいし…鑑定するところ、見てみたいわ」
ヒース 「よし、じゃあトロッコ乗って鉱山区へ行こう!」
ルーシィ「アタイ、一番前〜!」
ヒース 「ずるいぞ、ルーシィ!来るときも一番前だったじゃん!」
ロイ   「ケンカするなよ」

◇鉱山区

到着した子供達、アクセサリー店の方を見ながらこそこそと隠れている。

ヒース 「ところでさ、アクセサリー店にはアンジェのパパがいるんだよね」
アンジェ「どうしましょう…」
ロイ   「おれとルーシィで外に連れ出すから、そのスキに行ってこいよ」
ルーシィ「よっしゃー!まかせて!」

ガッツポーズのルーシィとロイ、アクセサリー店へ向かう。
ジュリが外へ出るのを見て、アンジェとヒースは店内へ入る。


◇アクセサリーコト店内

ミオリ  「いらっしゃいませ。あら、かわいいお客さまね、今日は何のご用ですか?」
アンジェ「あ、あのこれ…かんていをおねがいします。…これ、お金です」

青い玉と鑑定代をカウンターの上に置くアンジェ。

ミオリ  「青い玉が7つね。かしこまりました」

アンジェ、祈るように両手を握り固く目を瞑る。

ミオリ  「ガラス玉が3つ、ラピスラズリが2つ…」

アンジェの肩が小さく震える。
ヒースはアンジェの様子を見まもっている。

ミオリ  「アクアマリンが1つに………、サファイアが1つね」

ミオリの言葉に目を開き瞳を輝かせるアンジェ。

ヒース 「やったー!」

嬉しそうにはしゃぐヒースとアンジェ。

ミオリ  「それで、こちらはどう致しますか?」
アンジェ「あの、あの、アクアマリンのブローチと
     サファイアのブローチをおそろいのデザインでおねがいします」
ミオリ  「かしこまりました。明後日までには出来ると思いますわ。プレゼント用ですか?」
アンジェ「はい、リボンはピンクとブルーでおねがいします」

嬉しそうに依頼し、アンジェとヒースは店を出て行く。


しばらくの後、ジュリが店内にしかめ面で帰ってくる。

ジュリ  「んもう、なんだったのよ、あの子たちったら。無意味に引きずり回されたワ!」
ミオリ  「うふふ」
ジュリ  「アラ、なぁに?ミオリさんたら、なんか嬉しそうネ。」
ミオリ  「ええ、ちょっとね。暫く工房にこもるから入ってこないでね。店番をお願いします」
ジュリ  「なぁに〜? ……あら、ちょっと!」

ケースの中をのぞき込んだジュリ、首を傾げる。

ジュリ  「昨日、入荷したサファイアが見あたらないんだけど?」
ミオリ  「ごめんなさいね、売っちゃったわ」
ジュリ  「ええっひっどぉ〜い!アタシが買い取りたいって言ったのにぃあんまりダワ☆」
ミオリ  「うふふ」
ジュリ  「なんなのぉ〜その含み笑い、気になるワネ」

唇を尖らせるジュリ。
ミオリは微笑みを残して工房室へと姿を消していく。

END